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経営に必要な「言葉の力」

【福田恭子プロフィール】

株式会社アテナ・ブレインズ代表。日本経済新聞社出版局、筑摩書房で計18年間、書籍編集に携わったのちに独立。
編集・構造化という専門性をもとに、主に企業 向けに幅広いサービスを提供している。

  
投稿者 : admin 投稿日時: 2011-07-22 10:00:44 (477 ヒット)

本連載の第2回では、ハウステンボスの再建を手掛けている澤田秀雄社長の言葉、
第3回では、1999年以来、日産の再建を手掛け、成長路線をリードし続けている
ゴーン社長の言葉を取り上げました。
両者とも、異なる会社、異なる国からやってきて、短期間で「言葉の力」により
文脈(コンテクスト)の共有を図り、改革・成長を成し遂げたリーダーと言えます。

今回は、やはり異なる企業文化出身でIBMを復活させたルイス・ガースナー氏と、
「ハイ・コンテクスト」つまり文脈の共有度が高い中で改革を成し遂げた韓国
サムスングループ前会長の李健煕(イ・ゴンヒ)氏を取り上げます。
今回の参考文献は、『巨像も踊る』(ルイス・ガースナー著、日本経済新聞出版社)、
『サムスン経営を築いた男――李健煕伝』(洪夏祥著、同社刊)です。

ガースナー氏は、マッキンゼーからアメリカン・エキスプレスに転じた後、
合併後のRJRナビスコにCEOとして就任し、93年にIBMのCEOに抜擢されます。
当時は、ITとは無縁の同氏にIBMのトップが務まるのか、という懐疑の声も
あったようですが、異文化出身ゆえ、しがらみなく改革を断行でき、
IBMを見事に復活させて、90年代を代表する経営者となりました(2002年に退任)。

そのガースナー氏も、「言葉の力」を知る経営者です。
「わたしは言葉の力を強く信じている。ある組織がさまざまな関係者に
どのような言葉で語りかけているかを聞けば、その組織がみずからをどうみて
いるかが、かなりよくわかる」(『巨像も踊る』)。
そして就任直後の93年9月、「IBMの新しい企業文化の基礎となる八原則を書き、
特別のメールで全世界の全社員に送信した」のを皮切りに、折々に直接社員に
語りかけたことを同書が明らかにしています。
 
一方、ここ数年、グローバルな存在感がますます大きくなっているサムスン
グループですが、かつては停滞・危機の時代もありました。
87年に父の死に伴って第二代会長に就いた李健煕氏(2008年に退任)は、
就任直後に「第二創業」を宣言したものの、「五〇年ものあいだ続いてきた
体質はあまりにも強固」(『サムスン経営を築いた男』)でした。
そこで、93年に「言葉による変革」に乗り出します。
「ロサンゼルス出張をはじめ、三カ月のあいだ日本やフランクフルトを
まわり四八回におよぶ講演を通じて、一八〇〇人の従業員たちに
自分の考えを述べた。
講演をすべて書き留めると、A4のレポート用紙で八五〇〇ページにもなる」
(同書)。そしてこの間に、「自分から変わらねばならない。妻と子ども
以外は全部変えてみろ」という有名な言葉が生まれました。
同族経営という企業文化の中で「変革」を促し、実行するのは、すさまじい
決意が必要だっただろうと想像します。
 
以上、今回の連載全4回で、「言葉による経営」を駆け足で見てきました。
組織が既存の殻を破って飛躍していくためには、経営者の「言葉の力」が
不可欠であり、そうした経営者の言葉こそが企業ブランドを強固なものに
していくことを、少しでも感じとっていただけたとしたら幸いです。

短い間でしたが当連載におつきあいくださり、ありがとうございました。(連載了)


投稿者 : admin 投稿日時: 2011-07-08 12:18:53 (849 ヒット)

「“ベリー・ストロング・ゲンバ”を目の当たりにして誇りに思う。皆さんは日産
だけでなく日本の復興の象徴と言っても過言ではない」。
これは、日産自動車のカルロス・ゴーン社長が5月17日に、東日本大震災で被災した
同社いわき工場を訪れた時に、復興に携わった従業員約350人に対して
激励の言葉として述べたものです。5月18日付の日経新聞が伝えています。

私が、コミュニケーション力にすぐれた経営者として、その発言に最も注目して
いる一人が、日産のゴーン社長です。ゴーン社長も、前回取り上げたハウステン
ボスの澤田社長と同様、「外部からやってきた社長」です。

1999年にルノーが日産に資本参加したのを機に最高執行責任者として日産に着任し、
翌年に社長に就任します。99年3月の着任以来、「日産リバイバルプラン」を発表
する同年10月までに、「1000人の日産社員に会い、話をしました」とゴーン氏は
述べています(『ゴーン・テキスト』文藝春秋刊)。
そしてこの発表以来、同社がまさにV字型回復を遂げたことは、有言実行型リーダー
としてのゴーン社長を鮮明に印象付けることとなりました。

「日産リバイバルプラン」には以下のパワフルな言葉が使われています(同書)。
「We all shared a dream: a dream of a reconstructed and revived 
company, a dream of thoughtful and bold Nissan on track to perform 
profitable growth in a balanced alliance with Renault to create 
a major global player in the world car industry. This dream becomes,
today, a vision with the Nissan Revival Plan.(われわれはみんなこれまで
日産が再建を果たすことを夢見てきました。日産が大胆かつ緻密な行動力を持つ
会社として、上昇軌道に戻って収益ある成長を成し遂げ、そしてルノーとの提携に
よって、世界のメジャープレイヤーとなることがみんなの切なる願いなのです。
この夢と願いが今日、日産リバイバルプランとして私達の将来のビジョンに
生まれ変わったのです)」。

ゴーン社長の言葉力・コミュニケーション力がどのように培われたのか、
かねがね知りたいと思っていたのですが、ゴーン社長の自伝『ルネッサンス』
(ダイヤモンド社刊)を読んで、その謎が解けました。
ゴーン社長はレバノン系で、ブラジルで幼少期を過ごした後、レバノンに移りますが
(その後、フランスのエコール・ポリテクニーク、エコール・デ・ミーヌを卒業)、
レバノンのイエズス会系の学校の教師(神父)の教えとして、
次の言葉が同書に書かれています。
「まず耳を澄ませなさい。考えるのはそれからです。大事なのは、自分の考えを
可能な限りわかりやすい方法で表現するように努め、何事も簡潔にし、
自分でやると言ったことは必ずやり遂げることです」。

この言葉が、十代のゴーン社長の心に、「グレート・コミュニケーター」の種を
まき、その後、自分自身でそれを大きく育てて行ったのではないでしょうか。

冒頭のいわき工場でのメッセージは、社員を励ます言葉であると同時に、
取材に来ているメディアをも意識したものであることは間違いありません。
優れたメッセージは、社内に向けたものであっても、社外にも広く伝わるのです。


投稿者 : admin 投稿日時: 2011-06-24 10:26:57 (769 ヒット)

前回は、なぜ経営において、とりわけ企業の成長において「言葉」が重要になっている
のかを、二つの側面から見て行きました。そこでのキーワードは、「グローバル化」と
「ブランド強化」でした。
そして、「グローバル化」において「言葉」が重要な理由として、グローバルな組織は、
「ロー・コンテクスト社会(文脈の共有度が低い社会)」であるためと述べました。
これは、国内だけで事業展開している企業であっても、社内生え抜きでない人材が
経営者になった場合、同じことが起こります。
つまり、その新しい経営者と、旧来からの従業員の間では、「コンテクスト(文脈)」が
共有されていないわけですから、まず「言葉」によって共通理解をつくっていく必要が
あります。

さらに、外から新しい経営者が来たということは、会社の成長のためには、
会社を「変えなければならない」、ということが前提としてあります。
従業員の士気を高め、会社を成長に向けてチェンジしていくために、
「言葉」で引っ張っていくリーダーシップが重要となります。

その格好の例が、ハウステンボスの再生に乗り出した、エイチ・アイ・エスグループ
会長の澤田秀雄氏です。
経営破綻した長崎県佐世保市のハウステンボスがエイチ・アイ・エスグループの下で
再生を目指すことになり、2010年4月から、澤田氏が社長となって佐世保にやってきます。

2011年5月号の「日経トップリーダー」誌は、以下のように伝えています。
「『皆さんにお願いしたいことが、3つあります』澤田秀雄のハウステンボス再生は、
この言葉から始まった。(中略)澤田の最初のメッセージは、思いのほかシンプルな
3つの指示だった。それは、1、掃除をしよう、2、明るく元気に仕事をしよう、
3、経費を2割下げ、お客さんを2割増やそう、である。『いきなり難しい経営のことを
話しても、社員には理解してもらえません。とにかく、シンプルで、伝わるメッセージに
しなければと考えたのです』」  

澤田社長の、このシンプルで力強いメッセージは、創業以来、赤字続きだった
ハウステンボス従業員の心を動かし、会社のカルチャーを変え、「2010年9月期の
決算は、4〜9月の6カ月の変則決算とはいえ、経常利益は4億円と、92年の開業以来、
初めての黒字を達成」(同誌)することとなりました。

経営者の「言葉」は、人の心を動かし、会社を変え、成長へと導いていくことに
発揮されるべきものなのです。ハウステンボスの澤田社長の3つのシンプルな
メッセージと、その後の達成が、何よりそのことを雄弁に物語っています。


投稿者 : admin 投稿日時: 2011-06-22 15:09:23 (784 ヒット)

はじめまして。私は現在、アテナ・ブレインズという会社を経営しています。
創業三年を迎えた今年、自社のミッションを、「企業の成長を言葉の面から支援する」
と設定しました。
でも、「言葉」と「企業の成長」は、すぐには結びつかないかもしれません。
そこでこのコラムで、なぜ企業の成長に「言葉」が重要なのかについて、事例を
交えながら書いていきたいと思います。

最初に、このコラムで述べる「言葉」について限定を加えておきます。
ここで私が取り上げる「言葉」は、「経営者やリーダーの、社員やステークホルダー、
一般社会に向けた公式の発言」です。
英語で言うと、「statement」に近いニュアンスです。

さて、本題に入りますが、まず、「今なぜ経営において、とりわけ企業の成長に
おいて『言葉』が重要になっているのか」を、二つの側面から見て行きましょう。
具体的には(1)グローバル化、(2)ブランド強化、の二側面です。

一番目の「グローバル化」ですが、これは、「日本人社員には説明しなくても
わかってもらえたが、外国人社員には一つ一つ説明しないと誤解をまねく」と
いう状況を想像してもらうと、わかりやすいかもしれません。
日本社会は、「ハイ・コンテクスト社会(文脈の共有度が高い社会)」といえます。
簡単に言うと、「言わなくてもわかる」社会です。

一方、グローバルな組織は、「ロー・コンテクスト社会(文脈の共有度が低い社会)」
です。従業員、株主や顧客、取引先などステークホルダーがグローバル化すると、
これまでは言わなくても通じていたのが、一つ一つ、背景なども含めて丁寧に
説明していかないとなりません。
このことは、たとえ国内だけで事業展開している企業であっても、組織が拡大し、
ステークホルダーが多様化していけば、同様に必要になってきます。

二番目の「ブランド強化」とはどういうことでしょうか。
たとえば、日産自動車のカルロス・ゴーン社長兼CEOの発言は、
メディアにしばしば取り上げられます。とくに日産自動車に着任して間もない
頃に出された力強いメッセージは、日産自動車を復活させるという「意思」を
明確に表明するものであり、実際にそれが達成されたことにより、
その言葉の持つ力が印象づけられました。また、日本電産の永守重信社長や、
ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏といった日本人経営者の発言も
メディアにしばしば取り上げられ、こうした企業のブランド強化に役立って
います。

以上の二つの側面から、経営、企業の成長において「言葉の力」が不可欠で
あり、現代においては不言実行型のリーダーより有言実行型のリーダーが求め
られていると言えます。

次回からは事例を取り上げていきたいと思います。




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