第3回 日産ゴーン社長のコミュニケーション力

投稿日時 2011-07-08 12:18:53 | カテゴリ:  経営に必要な「言葉の力」

「“ベリー・ストロング・ゲンバ”を目の当たりにして誇りに思う。皆さんは日産
だけでなく日本の復興の象徴と言っても過言ではない」。
これは、日産自動車のカルロス・ゴーン社長が5月17日に、東日本大震災で被災した
同社いわき工場を訪れた時に、復興に携わった従業員約350人に対して
激励の言葉として述べたものです。5月18日付の日経新聞が伝えています。

私が、コミュニケーション力にすぐれた経営者として、その発言に最も注目して
いる一人が、日産のゴーン社長です。ゴーン社長も、前回取り上げたハウステン
ボスの澤田社長と同様、「外部からやってきた社長」です。

1999年にルノーが日産に資本参加したのを機に最高執行責任者として日産に着任し、
翌年に社長に就任します。99年3月の着任以来、「日産リバイバルプラン」を発表
する同年10月までに、「1000人の日産社員に会い、話をしました」とゴーン氏は
述べています(『ゴーン・テキスト』文藝春秋刊)。
そしてこの発表以来、同社がまさにV字型回復を遂げたことは、有言実行型リーダー
としてのゴーン社長を鮮明に印象付けることとなりました。

「日産リバイバルプラン」には以下のパワフルな言葉が使われています(同書)。
「We all shared a dream: a dream of a reconstructed and revived 
company, a dream of thoughtful and bold Nissan on track to perform 
profitable growth in a balanced alliance with Renault to create 
a major global player in the world car industry. This dream becomes,
today, a vision with the Nissan Revival Plan.(われわれはみんなこれまで
日産が再建を果たすことを夢見てきました。日産が大胆かつ緻密な行動力を持つ
会社として、上昇軌道に戻って収益ある成長を成し遂げ、そしてルノーとの提携に
よって、世界のメジャープレイヤーとなることがみんなの切なる願いなのです。
この夢と願いが今日、日産リバイバルプランとして私達の将来のビジョンに
生まれ変わったのです)」。

ゴーン社長の言葉力・コミュニケーション力がどのように培われたのか、
かねがね知りたいと思っていたのですが、ゴーン社長の自伝『ルネッサンス』
(ダイヤモンド社刊)を読んで、その謎が解けました。
ゴーン社長はレバノン系で、ブラジルで幼少期を過ごした後、レバノンに移りますが
(その後、フランスのエコール・ポリテクニーク、エコール・デ・ミーヌを卒業)、
レバノンのイエズス会系の学校の教師(神父)の教えとして、
次の言葉が同書に書かれています。
「まず耳を澄ませなさい。考えるのはそれからです。大事なのは、自分の考えを
可能な限りわかりやすい方法で表現するように努め、何事も簡潔にし、
自分でやると言ったことは必ずやり遂げることです」。

この言葉が、十代のゴーン社長の心に、「グレート・コミュニケーター」の種を
まき、その後、自分自身でそれを大きく育てて行ったのではないでしょうか。

冒頭のいわき工場でのメッセージは、社員を励ます言葉であると同時に、
取材に来ているメディアをも意識したものであることは間違いありません。
優れたメッセージは、社内に向けたものであっても、社外にも広く伝わるのです。




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